
「自分で自分を認めてあげましょう」
このように人から言われたり、本に書いてあったりしますよね。
でも、多くの人は、これができなくて悩みます。
自分を認めるとは、そもそもどういうことなのでしょうか?
この記事の目次
認めるということ
「認める」というのは、簡単なことではありません。
なぜなら、それは責任をとることと同義だからです。
罪を認めれば、それ相応の刑罰を受けなくてはいけないし、
不正を認めれば、社会的な責任をとらなくてはいけません。
負けたくない人に負けた時。
自分の能力、情けなさ、弱さも認めることは、
悔しさや恥といった感情と向き合う必要もでてきます。
ですが、人であれ、企業であれ、ありのままの姿(現実)を、
否認(認めないこと)をしているとうまくいきません。
人も企業も同じである、ということで、
先に企業について書いてから、人について書こうと思います。
■企業の場合
ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階という本があります。
数ある企業の中から、ほんとうに優れた、偉大な企業とそうではない企業。
それらを比較調査し、まとめた本です。
この本では、『企業の衰退の五段階』という記述が出てきます。
・成功を当然と考え、主要な弾み車を無視する。
・成功を収めるために必要な条件に対する理解を忘れさる。
・衰退企業が成功に自己満足して野心を失ったということは少なく、急激な事業拡大の方が危険である。
・事業の成長にあわせた適切な人材配置をし切れなくなる。(パッカードの法則)
・自社のリスクに対する過小評価する。
・指導者が失敗を外部要因の所為にする。
・一貫性のない新戦略・革新を追求する。
・救世主のような指導者に過度な期待をする。
・身売りなどの屈服と負の遺産による選択肢の消滅。
この中の3段階目に、『リスクと問題の否認』という項目があります。
企業ですので、自社の経営状況、競合や業界の動向といった『現実』がまずあります。
その現実を、都合の良いようにごまかしたり、否認した企業ほど衰退していく。
こういった事実を、データをもとに解説しています。
現実を直視せず、見ないフリをして否認する。その結果、次第に先細り、衰退する。
■人の場合
さて、ではこれを人に当てはめて考えてみましょう。
先ほどの『自社』を個人に当てはめると、『その人自身の個性、性格』。
『競合や業界』は、『周囲の人間関係や仕事などの日常』と置き換えてみます。
例えば、自分の性格が嫌いで、劣等感を感じていたとしましょう。
自分のダメなところ、無能さなどを認めるということは、
負けを認める敗北感を味わい、自分の限界を直視することになります。
苦痛なので、できれば認めたくありません。そこで否認する。
ありのままの自分をごまかし、虚勢を張る。
そうすると、虚勢ですので現実との落差が出て、それを隠すためにバレたくないという心理が働きます。
企業が不祥事を起こし、必死に隠そうとするのと似ています。
バレたくないので、公の場に出て人と会うことが苦痛になります(記者会見など)。
個人も同じで、人とのコミュニケーションが辛くなる。
これが否認するということです。
自分自身に、嫌いな部分があってもいいのです。それは自然なことだから。
人それぞれ、価値観があります。虫や動物にもそれはあります。
シマウマは草が好きですよね。
「たまには魚でも喰えよ」と言ったところで、くちゃくちゃ食べるでしょうか(笑)
好きと嫌いは、同居していいんです。でも否認は、衰退への要因。
まずは、少しずつでいいので、等身大の自分を認めていきましょう。
ありのままの自分を認め、肯定してあげる。
それだけで、十分、人生の厳しさと格闘するエネルギーは湧いてきますよ。