本当はイヤなんだけど…なかなか「No」が言えない。そんなお悩みはありませんか?サラっと言えてしまう人も中にはいますが、言えない人はちゃんと理由があるんですね。それは「申し訳なさ」です。
この感情(罪悪感)があると、イヤという気持ちを言葉にするのをためらってしまいます。自分の言動を「悪いことをしている」と感じてしまいますからね。でも本当は望んでいないのに、自分をごまかすのも辛いもの。
アダルトチルドレンというのは、罪悪感をもちやすいもの。そこで、自分の主張をしやすくする方法をご紹介しようと思います。
「No」が言えない心理
私たちには自分と自分以外を分ける『境界』があります。水と水は混じり合いますが、人と人が混じり合うことはありません。これは、皮膚が境界になっているからです。
ところが、心の境界というのは…無かったり、あるいは曖昧(あいまい)であることがあります。この場合、
- 相手が怒っていると、「自分のせい?」と思う
- 相手が悲しんでいると、うしろめたくなる
- 自分の意見を言わずに、相手に合わせる
といった反応が起こります。自分と相手の境界が曖昧なので、相手の反応に、自分の心が引っ張られてしまうのですね。その結果、相手の反応が気になって「No」が言えなくなってしまうのです。
本来、相手の感情は、その人自身のものです。「キレイですね」と言われて嬉しい人もいれば、そうでない人もいますから、受け取る側の問題なのですね。
ところが、境界が曖昧だと、相手が悲しむことに罪悪感を抱いてしまいます。なので、「No」ということをためらってしまうのも仕方が無いのかもしれません。
健全な心の境界とは
私たちには、心地よい距離・侵されたくない領域というものがあります。いくら親しいパートナーであっても、また親であっても、していいことと悪いことがあります。触れてほしくない時に触られたり、勝手に机の中を見られたりするのは苦痛ですよね。
幼少期にこういった、自分の境界を侵されてしまう経験がある場合。自分と他人を分ける、健全な境界が身に付かなくなってしまいます。育った環境そのものに、境界が無いのですから無理もありません。
例えば両親がケンカをして、険悪な雰囲気に自分がさらされていた場合。親の感じている気分にイヤでも巻き込まれてしまいます。そうなると、自分に責任を感じてしまい、罪悪感をもってしまうことがあります。
また、親が自分のバックやノート等を勝手に見てしまうような場合。境界を侵されることで、自分のことを無力な存在だと勘違いしてしうこともあるのです。
ただ、幼少期に身につけることができなくても、大人になってから改善していくことができます。心の境界線ができてくると、相手の感情に引っ張られることがなくなります。相手が悲しんだり怒ったりしても、落ち着いていられるのですね。
そうなることで「No」も言いやすくなります。自分の気持ちを表現して、相手が悲しんだりしたとしても…それは相手(受け取り手)の問題だと思えるようになるからです。
心の境界を引くには
1)頭で理解する
『相手の感情は相手のもの。自分の感情は自分のもの。』
この大事な原則を知っておきましょう。先ほども書いた通り、「キレイですね」とホメたとしても、嬉しいかイヤなのかは相手次第です。なので、相手がどう感じるかについて、こちらが責任をとることも、コントロールしようとする必要もないのですね。
ただし、責任をとらなくてもいいなんて聞くと、ちょっと冷たい感じもしますよね。なので、どうしても気になったら謝まればいいのです。
2)心で感じる
カウンセリングでは、イメージの中で『心の境界線』を明確にする、ということをやる場合があります。これをすることで、少しずつ自分と他人に境界が出来てきます。知識として「自分と相手の感情は別」と知っておくことも重要ですが、別という感覚をもつ手段として、イメージをつかった方法も取り入れています。
まとめ
境界について書いてきました。私たちは、境界があいまいな状態ですと、罪悪感や無力感を感じやすいのですね。
相手の感情に責任を感じてしまうと、罪悪感を感じます。また、自分の境界を侵されてしまうと無力感を感じることになるのです。
自分の気持ちに正直に、イヤなものは「No」と言えること。これが出来るためには、自分と他人の間に境界をつくり、心理的な負担を減らしてあげるのが近道になるのですね。
職場や恋愛など、対人関係において自分の主張がなかなかできない場合。そこに罪悪感や無力感がないか見てみましょう。頑張って改善する前に、心の境界をつくってあげた方がよいかもしれないからです。
お困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談下さい。一緒に解決していきましょう!